はてのえす

時には深く多趣味な人生を歩んでいます

平林 初之輔 秘密
海野 十三 三十年後の東京

平林初之輔さんの『人造人間』を読んでみて

 

 

 

読者のみなさん こんにちは

今回は

平林 初之輔 著

Hirabayashi, Hatsunosuke

人造人間

 

を拝読させて頂きましたので

筆者の感想や、感じた事を記事に

していきます。

 

『人造人間』

青空文庫で読むことが出来ます。

オススメです

www.aozora.gr.jp

 

 

 

人造人間は単純そうで

奥が深い作品です。

そこには

愛や憎悪、欺きの感情が渦巻いてしました。

主人公を主軸として

それぞれの登場人物の

感情を読み解いていくと

読者それぞれの視点で

全く違う感想が

生まれてくるでしょう。

 

中には嫌悪感を抱く方も

いらっしゃるかもしれません。

 

この作品は

30分程度で読み終える

ことが出来ます。

 

※最後のネタバレは避ける様にしていますが、大筋に触れる面もあります。

 ご注意ください。

 

 

 

 

 

 

 

あらすじも含めて

 

 

動物実験で人工生殖の実験が成功したと

発表した博士は次は人間を…と話す。

しかもすでに試験管の中で

妊娠三ヶ月まで成長していると。

世界は驚愕し、期待し

新聞は大きく見出しで売り出した。

それでも、研究は続く。

しかし博士は他の誰にも

研究の本質には触れさせなかった。

女史にも、妻にも…

 

という感じです。

 

 

 

とにかく、平林さん

書く文章は知的です。

それでいて飽きがこない

不思議な魅力が詰まった

文章で構築してくれています。

 

今回の作品も

一度読みだしたらやめられない

そんな''癖''にきっと

ハマること間違いなしです。

 

 

 

面妖な美しさ

 

 

主人公の博士には

世間では許されない願望があります。

その願望を実現する為に

切磋琢磨し、努力するのです。

 

 

 

そこには博士の

誰にも理解されない

気持ちが隠れていますが

誰もを欺き、ついには自分もを…

 

という所で

面妖な美しさ

を感じました。

 

一言で表すと【不気味】

彼の冷静沈着さのメッセージに

引っ掛かるその感覚は

間違っていないと思います。

 

 

 

 

多情多感

 

 

登場人物は多くはありませんが

それぞれが登場する場面で

繊細な感情が丁寧に描かれています。

 

憎悪

悪態

愛情

平静

緊張

 

 

 

たくさんのドロドロとした

感情がギュッと詰め込まれており

眩暈がする程です。

短編でありながら、これだけの

目まぐるしい感情表現に感動するでしょう。

 

平林さんの別作品『秘密』でも

その感動を味わうことができます。

是非見てみてください。

『秘密』の記事はこちら

 

『人造人間』では

特に中盤あたりの女史の

気持ちの揺らぎは必見です。

感性豊かな読者の方なら

その場にいるかの様な

没入感も味わえると思います。

 

 

 

 

読者の方へ

 

 

彼は朝起きて、1日を終えるまで

どんなことを想っていたのでしょうか。

 

 

 

人造人間というタイトルではありますが

作中の『人造人間』というワードの

立ち位置が変わってくる終わり方でした。

博士にとって

『人間』『創造』することを

思いついた時の理想と戸惑いの狭間は

想像に容易いです。

 

手紙

 

作品を最後まで拝読させて頂いた後

『人造人間』の立ち位置

虚無感へと変わっていきました。

読者の方はいかがでしょうか?

 

 

 

 

最後に

 

 

重ねてにはなりますが

こちらの作品は

不思議な魅力に包まれています。

 

 

 

 

世間的には許されない

行為で構成されているのは

重々承知ではありますが

嫌味のない美しさ

あります。

 

何度か読み直してみると

更に魅力が増します。

是非お時間あればもう1度

目を通してみてください。

オススメです。

 

朗読はこちら


www.youtube.com

 

ここまで読んで頂き

ありがとうございました。

またどこかでお会いしましょう。